コロナ狂騒さえ勃発せねば、今宵は、米女性電子音楽家「Victoria Shen」ことヴィッキーの来日ツアー名古屋公演の筈なれど、已む無くツアーはキャンセルと相成るや、名古屋公演主催頂くノイジシャン「Hyakuyoso」こと高橋さんが、仮令ヴィッキー不参加なれども決行英断、斯くしてソロ名古屋公演の為、いざ名古屋へ赴かんと、大阪アジトより出発するや、いきなり新御堂筋がババ混み大渋滞、
北大阪急行が開業50年目にして、地下鉄御堂筋線を箕面まで延伸させるべく工事開始されれば、並走する新御堂筋が工事にて車線規制中なるが元凶なりけり。
新御堂筋の大渋滞を漸く突破、国道2号線へ流入し、いざ名神高速道路吹田ICを目指すや、京都南ICまで90分、栗東ICまで2時間以上なんぞたる、なかなか絶望的な表示発見、
世俗より隔絶せし暮らしぶりなる私なれば、全く以て祝祭日なんぞ無縁至極、然れば世の中は目下4連休中なんぞたるも存ぜぬ有様にして、
成る程、斯くなる理由にてこの大渋滞巻き起こされしか。コロナ狂騒にて久しく大渋滞なんぞ無縁たれば、いやはや緊急事態宣言時の閑散ぶり懐かしきかな。何はともあれ、この絶望的大渋滞へ突撃せんとすれど、果たしてサウンドチェックに間に合うや否や、
此処は矢張り「急がば回れ作戦」かと急遽ルート変更、名神高速道路吹田ICにあらず、隣接する近畿道吹田ICへ流入、斯くして近畿道を爆走、
而して西名阪道へ、
更には名阪国道へ、然りとてこちらも滅多に御目に掛からぬ混雑ぶり、挙句案の定一度ならぬ二度までも事故渋滞に巻き込まれ乍らも、
東名阪道を爆走、長良川、更には木曽川を渡り、漸く愛知県へ突入、
遥かに名古屋駅前に建ち並ぶ高層ビル仰げば、大渋滞なる名神高速道路経由よりは1時間以上早く名古屋へ到着、何とかサウンドチェックには間に合いしか。
斯くして今宵の会場たるSpazio Ritaへ到着せり。
サウンドチェックせんとすれど、隣接する会場にてイベント開催中なれば、アンプに繋ぎ僅か10秒程にて苦情到来、未だアンプのセッティングすら終えぬ傍から「喧しい」と仰せなれば、此処は大人の対応にて速やかに中止終了、然りとてこの音量にて苦言呈さねばならぬとは、隣はどんだけ屁垂れなライヴやっとんねんな。出演者と思しきには、一丁前にイキッたニイちゃんやオッチャンも見受けられれば、よもや「日曜パンク音楽教室」なんぞか。
前打ち上げに興ずるべく界隈徘徊、日曜日なれば殆どの店が休みにして、漸く営業中なる一軒発見するや突撃、然れど未だ午後5時過ぎなれば、パートのおばちゃんと思しきが僅か2人のみにて営業されれば、その料理の酷さに思わず絶句、そもそも「やきとり居酒屋」を名乗りながら、その焼鳥の不味さ尋常ならずして、当店一番人気なりける「つくね」すら、コンビニレベルにも優に劣る有様とは是如何に。嘗て名古屋に在住せし間に、私は焼鳥嫌いと化せど、それは名古屋に於ける焼鳥の主流が、焦げる程に念入りに焼けば、肉汁も脂も抜け落ち、既に焼鳥の残骸たらんカチカチカスカスな有様、況して名古屋と云えば濃厚な味好み故に、タレの濃厚な味わいに焦げ臭さもカスカスぶりも誤魔化され、果たして焼鳥の醍醐味は何処へ、斯くも焼鳥とは全く別物へと転生せられればこそに由来せり。
よくまあこんな料理で金取る勇気あるよなあ、なんぞと感心すらすれど、何でこんな不味いもんに金払わなあかんねんなと、早々に河岸変えるべく撤収退去せり。然りとて結構な繁盛ぶりなれば俄かに信じ難けれど、それも立地条件の良さに由る集客のみアテにせんとは、おんどれら京都人か。
会場へ戻る道すがら、未だ先程は開店前たりし居酒屋「猩々」発見、先の常軌を逸する激不味ぶりの口直しすべく、いざ突撃するや、焼鳥は丁寧な焼き具合にして美味至極、更には「シマアジ刺身」も美味にて大いに堪能、矢張り対価に見合う商品やサービスの提供こそビジネスの基本、いやはや此処が極楽浄土にさえ思えて来る有様かな。
会場へ戻るや、今宵は「unknowncolours#9」なる抽象音楽の祭典、
先鋒務め下さりしは、今宵の主催者なる「Hyakuyoso」こと高橋さん、つい先日行われしライヴよりラップトップ導入されにければ、短波ラジオを駆使されての美しき重層アンビエントドローン、VJ務められるyum氏が紡ぐヴィジュアルイメージとも相俟り、何やら夢を逆回転再生されるが如き感覚、抽象音楽の祭典の幕開けに相応し過ぎかな。
次鋒務められしは、私と同じく関西よりの遠征組「金属太古&Sandersonia」の御二方にして、特に「金属太古」氏とは何かと縁深ければ、久々の邂逅のみならずライヴ観戦嬉しき限り。金属を打ち鳴らされれど決して打楽器奏者にあらざる辺り、あの異能パーカッショニスト「ナカタニタツヤ」君を想起すれど、金属さん(予てより勝手に斯くも呼称させて頂く次第)の方が、よりおどろおどろしければ、アンプ使用もあり、或る意味ロック的にして、更に「Sandersonia」女史とのデュオとなるや、御両名が織り成す妖艶な空気感は、毎度乍ら夫婦の夜の営みを覗き見るが如き錯覚さえ得られ、正に愛憎渦巻く情念の金属夜叉劇場なんぞと称すべきか。背徳感溢るるエロさ爆裂、観応え聴き応えあり過ぎかな。
三番手務められしは、帝都より遠征されし「Motomu Miura(」氏にして、モジュラーシンセとレーザー駆使されしスタイルは、一楽さんを想起せられしも当然なれど、その音像はアナログ的ノイズに終始すれば、全く異なるアプローチなるかな。一聴すればアンバランス的なそのバランス感覚が秀逸、後に伺えば実は同年代にして、成る程さればこそ発せられる音に対し、何処か妙に親和感感じて余りある筈か。
四番手務められしは、名古屋の老舗重鎮ノイズユニット「Contagious Orgasm」サンプラー等駆使される橋本博氏、メタルパーカッション担当されしマーブル君、カオス一直線。マーブル君とは久々過ぎな再会果たせば、御挨拶頂きし当初、暫く誰か判らずして全く以て面目なし。
殿務めさせて頂けば、今宵はギターアンプとベースアンプなる計2台を駆使し、30分のセット披露させて頂きし。今宵は再び最新秘密兵器セミアコ召喚、重層フィードバックにて幕開け、弓弾きに由るアンサンブルを経て、最後は再びフィードバックへ帰結、脳髄直撃精神破壊法悦音響へ至るや、不覚にも己れの脳髄をも直撃被弾、意識喪失せんやと危惧しつつも、充分なるハザードレベルへ到達するや幕。終演後、VJとの共鳴共振ぶりが素晴らしきかなと御賞賛頂けば、VJ務めて頂きしyum氏にも多大なる感謝。
ライヴ写真ネット上にて拾遺叶えば、此処に無断転載させて頂く次第、悪しからず。
VJ務めて下さりしyum氏が、セット全編をYoutubeにて公開下されば、興味抱かれし御仁は是非に御覧頂きたし。但しあの最凶な法悦音響ぶりは、矢張り会場にて身を以て体験せねば、その真骨頂は決して理解し得ぬと知れ。
今宵、河端一 solo@Spazio Ritaへ御運び下さりし皆様、どうも有り難う御座いました。
新栄の居酒屋にて、出演者一同を以て打ち上げに興ずれば、毎度乍らのアホ話から真面目話のみならず、御目出度話やら懐かし話にまで花咲き、大いに楽しき一夜過ごさせて頂きしかな。写真撮影さえも忘れれば、悪しからず。
斯くして名古屋の夜は更け行きし。