投宿せしアパートは、暑ければ窓は全開にせし故、蚊の大群襲来、いきなり壮絶なる被弾ぶりに、長袖Tシャツに着替え、ブランケットを被り防戦すれど、然れば僅かな隙間より足の指先やら顔面に被弾、全身痒ければ到底一睡も叶わぬ有様、況してやこちらの蚊とは、羽音が全くの無音なれば、あの癇に触るプーーーンなる音がせぬ故、彼奴等の襲来一切探知できぬ有様、而して均かの電気も非ざれば真暗闇、その姿見ようにも見る術なしとは信じ難き劣悪環境、斯くして一晩中蚊の大群と死闘繰り広げれば、
漸く朝を迎え、その姿愈々目視確認し得るや、腹も膨れ動きも緩慢になりし処を続々殲滅、遂に報復反撃開始せり。
結局一睡も出来ぬ儘、而して電気非ざればシャワーも調理も叶わぬ儘、然りとてWi-Fiルーターのみ充電済みにて稼働すれば、MacBook Proのバッテリー残量ある限り、ネット接続のみ果たし得ると珍光景、数日前よりサーバーエラーにてメール受信に障害あれど、遂に解消解決せしを確認せり。
斯様な劣悪環境に、悠長に留まる必要非ざれば、早々に出発、水上バスVoporettoに乗船せり。チケットは時間制なれば、75分間有効にて€7.50也。
高速バス乗り場にて、スロベニアはLjubljana行きに乗車せり。欧州を代表する高速バス会社Euro Lineに関せば、楽器類持参するや有無を云わせず乗車拒否される次第なれど、今回は小型の楽器ならば持込可と確認、然れど果たしてベースは如何にと危惧されれば、フライト時同様ボディとネックに解体され、ボディはリュックへ、ネックは釣竿ケースに収納、これにて全く楽器とは思われる筈もなし。因みに斯様なカムフラージュ作戦とは、嘗て未だ渡米に関しワークビザ取得以前、入国審査を無事果たすべく、各自あれこれ工夫せし経緯あればこそ。然れば見事功を奏せしか、無事乗車果たせり。
投宿せしアパートに於いて電気非ざれば、朝飯の調理も叶わず、然れば津山さんよりおかきを御裾分け頂き、是を以て朝飯とせん。
約4時間のバスの旅は、一晩中蚊の大群と死闘繰り広げ一睡もし得ねば、大爆睡に尽きし。起こされればLjubljanaに到着せり。
バス停より徒歩にて会場へ赴かん。
斯くして今宵の会場たるChannel Zeroへ到着せり。
此処はスクワットの如きにして、広大な敷地内にライヴベニューと思しきが数軒建ち並べば、嘗て宿泊せし牢獄を改装されしホステルも、この敷地内に建つものなり。
至る所に奇々怪々なる代物蠢めけば、いとをかし。
会場にてセッティング完了すれど、サウンドチェックまで未だ優に時間余せば、投宿先たるホテルへ。況して本日は個室なれば、昨夜の劣悪な環境と比べ、正に天国と地獄か。
如何せん空腹なれば、携帯用電気調理器「ポコポコ」を以って、即席焼そば食さんとす。
curry味なれば、成る程正にカレー味なり。
カレー味と云えば、ガキの頃「エースコックカレーラーメン」を大好物とすれど、気付けば生産中止と相成りし顛末、せめて関西地区限定にて充分なれば、温故知新なんぞと此処は是非にも再発を切望して止まぬ次第。
サウンドチェック済ませるや、ホテル内レストランにて晩餐なり。
先ずは「野菜スープ」最早私個人の味覚に於ける塩っぱさの基準とは、世の其れと何れ程隔絶せしかは判然とせねど、このスープも大いに塩っぱく感ぜられれば、呷る赤ワイン少々差せし。
「サラダ」底にはポテトサラダも潜む次第。
「チキンのシュニッツェル」アメリカ人宜しくケチャップとタバスコ添え食せり。
食後の「ハンドメイド・アイスクリーム」堪能される御両人、私は満腹至極にしてエスプレッソにて〆。
今宵も「Acid Mothers Temple SWR」「河端一 solo」「赤天」「津山篤 solo」「Ruins Alone」「Zoffy」「サイケ奉行」「Zubi Zuva X」怒涛の勢いにて走り切りつつも、今や定番と化せし津山さんソロに於ける「Japanse New Music Festival 2017」コンピレーションCD販促パフォーマンスが大ウケ、而して亦それをネタに更なる販促活動展開せり。
下は、私がステージ上より撮影せし写真なり。
「赤天」
「津山篤 solo」
最前列にて激写される女性カメラマン之圖。
「Ruins Alone」
終演後、ホテルへ帰還するや「ポコポコ」を以って、夜食「カレー焼そば」食せり。ケータリングにて供されしラディッシュの葉のみ失敬すれば、ぶち込みし次第。
テレビにてエロチャンネル鑑賞、そもそもはスポーツチャンネルなれど、深夜のみエロチャンネルへ変貌される次第、エロもスポーツと捉え得るとは充分納得、然れば一層健康的且つ開放的に楽しみ得る筈か。
毎度乍ら抱く疑問、この電話番号は何ぞや。
エロチャンネルのミニマルぶりに飽きれば、偶然「遊星からの物体X ファーストコンタクト(原題:The Thing)」放映されしに邂逅、スロベニア語吹替にて鑑賞せり。そもそも1982年公開されしジョン・カーペンター監督作品「遊星からの物体X(原題:The Thing)」は劇場に於いてでさえ20回以上鑑賞せし経緯あれば、その前日談たる本作、スロベニア語吹替であれ概ね問題なくストーリーを掌握、大いに堪能せり。1982年版へ続くばく、細かなディテールも踏襲されれば、先の「ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー」と共に、その結末より嘗ての名作へ繋がる設定なればこそ、旧作への一層のリスペクトと愛を感じて止まぬばかりかな。
今宵は蚊の大群襲来も非ざれば、心地良く安眠し得らん。
斯くしてLjubljanaの夜は更け行きし。