午前6時起床。投宿せしは会場の2階に設営されしツアーバンド用宿泊施設なれば、レコーディングスタジオや事務所とも隣接すればこそか、セキュリティー厳しくして、階下へ降りる扉に触れるや、最新鋭セキュリティーシステム稼働、即座に警察及びガードマンが駆け付ける運びなれば、誤動作の場合、罰金支払い義務さえ生ずる次第、然れば翌正午にスタッフ出勤されるまで、事実上2階に監禁されし有様なり。
然るに監禁気分にて就寝すればこそか、謎の尻人共襲来せし悪夢に魘されれど、果たしてあれは夢たりしか、扨又ここの2階奥たる「開かずの間」に巣喰われにける、闇の住人共ならんや。
奇しくも昨日TESCOにて食料仕入れし経緯あれば、仮令監禁状態と相成れど、キッチンもあれば調理可能にして問題なし。定番たる「タイ風混ぜ麺」拵えんとするや、昨夜ケータリングより失敬せしハムも召喚、斯くして「タイ風混ぜ麺」拵えるや、
例の不味き粉末アスパラガススープ召喚、即席麺に添付されし粉末カレー風味スープとカットわかめもぶち込み熱湯注ぐや、これにてインプロクッキング「ワカメ入りアスパラガス風味カレースープ」完成せり。混ぜ麺美味なるは云わずもがな、而してこのインプロ・カレースープも想像を遥かに凌ぐ程に大いに美味。
起き抜けるや否や、ポテチ貪られしみつるちゃん之圖。
昨日のレコード・ハンティングの戦果を眺め悦に入られし津山さん、突如けたたましくも独り爆笑されれば、曰く「Wishbone Ashのレコードに見た事ないインナースリーブ入ってる!って思うて買うたのに、これ(インナースリーブ)よう見たらWishbone Ashちゃうやんけ!これGenesisや!それも3人になってからの…Abacabやんけ!」原盤原理主義者たればこそ、脳汁土石流の如く大分泌されし暁には、冷静な判断力すら喪失されるは珍しからずして、同じく原盤原理主義者たるみつるちゃんも嘗て、入念に検盤されしにも関わらず、盤のラベルにこそ拘り過ぎし挙げ句、その盤に録音されし肝心のバンドが全く異なるなんぞと云う、通常ならば信じ難きチョンボさえされし経緯もあり。
レコーディングスタジオにて、毎度乍らの云わしたり顔にて決められる津山さん之圖。
宿泊施設の壁に掲げられるは、アンチ・ファシストの旗にして、これも20年来に渡り右傾化著しき欧州なればこそ。
漸く正午となり監禁状態より解放されれば、Ramsgateへ向け出発せり。車中にて、今や最も快適と云われる特別通路席をほぼ占有化され、スナック菓子貪り、スマホ弄くり、爆睡されるみつるちゃんなり。
給油すべくガソリンスタンドへ立ち寄るや、何とナメック星人が給油中なり。
ガソリンスタンド内売店にて「Pussy」なる缶入飲料発見、
「Pussy Natural Energy」とは是如何に。均か御愛汁御政汁を原料にされしか。
ミートパイ食らい乍ら、この代物が如何に美味たるか、NANI君に熱弁振るわれるみつるちゃん之圖。
今やバンド内の愛煙家は2人となりし。世の風潮は疾うに禁煙嫌煙断煙反煙絶煙なんぞなれば、人目忍ばれるその姿、校舎の裏にて喫煙する中学生の如し。
柊も朱に染まれば、いとをかし。
微小な蝸牛発見、撮影せんと接近すれば、この葉に忍ぶ針攻撃を受けし顛末。
ドライヴインにてBurger Kingあれば、私と東君は昼飯求め突撃せり。斯くして私は「Whooper + Onion Ring」所望、
オニオンリングは思う処ありキープ、Whooperのみ食らえども、ハバネロスース施さず食らえば、はて?Whooperとは斯くも不味き代物たりしか、先達てのBig Macに比べれば幾分マシとは云え、成る程これまで私は、ハンバーガーならぬハバネロソースの味を以て味わいし事、此処に発覚せり。
東君がWhooper齧り付かれしを、羨望の眼差しを以て眺むるみつるちゃん之圖。曰く「食い過ぎやからセーブしよ思って」然れど実は、ミートパイ平らげられし直後なればこそ。
Ramsgate到着するや、レコード屋「Howling Sounds」突撃すれど、生憎既に閉店、然れど「ハイそうですか」と素直に引き下がる原盤原理主義者達にあらねば、店主と交渉、斯くして扉は再び開けられし。勿論店主に無理を聞いて頂けば、こちらも何かしら購入せねば退店許されぬも道理、然れど私には在庫内容芳しからず、珍しくもカセット2本所望、〆て£2.00(約380円)也。然れど原盤原理主義者急先鋒たるみつるちゃんが、レア盤に散財されしとは云わずもがな。
今宵の会場Ramsgate Music Hall到着せり。
昨年同様に今年も亦、ステージ後方壁面にバンド名ロゴを装飾下さりし。
店内至る所に、懐かしきカセットプレーヤーの類いずらり陳列されれば、Mikeがモデルを務め、ラジカセ文化の遍歴を辿らんとす。
「1990」
「1985」
「1981」
「1976」
P-Modelの歌詞にも登場せし、懐かしきラテカセ発見、若きNANI君に存じ上げるか問えば、案の定存じ上げぬ次第。
御存知の通り出演者用リストバンドなれど、能く能く眺むるや、Wi-Fiパスワード、ドアコード等全て記載され、これは便利かと思えども、如何せん文字級数微小にして、老眼に苛まされる我が身には全く機能せじ、悪しからず。
サウンドチェックも済ませるや、晩飯は界隈のインド料理にて。カレーと聞けば亦、脳汁と唾液が土石流の如く分泌されるカレー中毒にしてカレー部部長みつるちゃん、顔面傾斜角30度を維持しつつ云わしたり顔にてインドカレー蘊蓄も爆裂すれば、それを只管聞かされしNANI君は、苦笑浮かべつつもタジタジなり。
御品書きにシェフの経歴年表や顔写真、更にメッセージすらも掲載されれば、余程の有名シェフたりしか、
然れば高がカレーと云えど、我々下層労働者階級向けにあらずして、セレブ観光客や貴族階級向けかと思われれば、懐石料理の如く、先ずはバナナフライの如きが供されし。
続けて今度はスープ配膳されれど、是亦薄めしカレー+味噌汁の如き味わいにして、成る程これこそが、所謂マハラジャ用インド宮廷料理の味わいなるか。
漸く御馴染みパパド運ばれれど、これも所謂ありがちな既製品にあらずして自家製か、然れど既製品との味の違いなんぞほぼ皆無か。
而して愈々主菜たるカレー配膳されんとすれば、先ず運ばれしはライスなれど、案の定懐石料理の如き厳かさ、因みに私は「malabar Chicken Curry」なるを所望、更には激辛愛好ヴィーガンMike共々「Extreme Hot」仕様を御願いすれど、いざ食らえば、辛味なんぞ皆無にして、味わいそのものすら、ルーに散らされしパクチーの味わいのみとは是如何に。これこそが大英帝国上流貴族共が、美味と持て囃される味わいなるか。私なんぞ下層階級出身の貧乏ミュージシャンなれば、上流階級の味覚なんぞ縁無くして、斯くもしょうむないカレー、如何にしても有り難がれぬも重々承知之介、御免。
会場への帰路にて、カオル・タチバナ・フランソワ先生の壁画発見され、感慨に耽られし愛弟子アツボン&ヒロボン之圖。
今宵もソールドアウト大盛況にて、恙無く終了。ライヴ写真ネット上にて拾遺叶えば、此処に無断借用転載させて頂く次第、悪しからず。
投宿先たるホテルへ到着すれば、NANI君は夜食を作らんと、刻みし野菜を電気ケトルへぶち込まれ調理開始。そもそも電気ケトルを駆使し、麺を茹で得る裏技を発見せしは私なれば、その秘奥儀はAMTメンバー全員どころか、今やBo Ningen等、日本人ツアーミュージシャンの間にも拡散浸透しつつあれど、野菜までぶち込む極悪非道ぶりは凡そNANI君のみならん。
NANI君の極悪クッキングを横目に眺めつつ、私は夜食たる「ワカメ増量即席蜆汁」堪能せり。
投宿するは所謂安モーテルにして、無料ネット接続は30分間のみ、有料ネットは料金カード払いのみにて我々該当せねば、今宵はテレビなんぞ鑑賞し夜更かし堪能せん。斯くしてRamsgateの夜は更け行きし。
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Ramsgate
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