本日は、愈々今回の海外遠征最終地たるアメリカへ渡航せんとすれば、午前4時半起床。午前6時半ホテルを出発、北駅まで徒歩数分にて至るや、空港行き列車にていざBrussels空港へ。
ついぞ2週間前にも、此処よりスペインはBarcelonaへフライトすれば、何やら双六にて振出へ戻されし錯覚もあれど、今回は大西洋を越える大移動なれば、些か気も引き締まるものなり。
無料受託手荷物1個なるUnited航空利用なれば、昨夜のフライト用パッキング見事成功、無事チェックインも果たせば搭乗ゲートへ赴かん。
午前9時45分発Brussels航空London Heathrow行きに搭乗、僅か1時間45分の旅にてLondon着。
朝飯も食らわず出発すれば、大いに空腹にして、アメリカはHouston行きに乗り継ぐには3時間以上も余す故、昼飯なんぞ食さんと空港内を散策すれば、ターミナル2のロビー2階にて「Yo! Sushi」なる日本料理屋チェーン発見せり。
チャラき店構えなれど回転寿司屋なりけりて、漸く8週間余の欧州行脚終えしとは云え、未だこれより3週間余のアメリカ・ツアー控える身なれば、ここは是非に英気養い活力充填すべく「なんぞ美味いもん食うたろやないけ!」と突入せり。
冷酒+鯖。久々に呷る日本酒の美味さも然る事乍ら、鯖の余りの美味さに一発昇天。久しく忘れ去られし「美味い」なる感覚が、電撃食らいて突如目覚めしが如し。斯くも美味なる代物が存在するこの世界、未だ未だ捨てたもんちゃうがな。
斯くして鯖再び。がりも大いに美味。余りの美味さに脳汁大噴出、恍惚状態へ突入せん。
御品書を見れば、海外の寿司屋なればこそ不可思議なるオリジナル巻寿司各種取り揃えられれど、何とカツカレーやらお好み焼きやらたこ焼きやら焼きそばやら天婦羅やらと、凡そ寿司屋にあらざるべき代物さえもずらり並べば、思わず「Prawn Katsu Curry」こと我々が呼ぶ処の「海老カレー」所望せり。10年程前不意に嗅覚失いし以来、カレーの香りなんぞ殆ど感知し得ぬ有様たれど、何と奇跡的にも些かなりとは云えカレーの香り嗅ぎ得れば、その美味さ尚一層にして、これは正に食神様よりの御慈愛か。
〆に鯖三度。冷酒も丁度尽きて、普段ならば此の儘飲み始めんとすれど、此処は敢えて我慢、これを以て充分とせん。如何せん未だアメリカ・ラウンド残す身なれば、無闇に望郷の念煽るは危険行為と知ればこそ。
午後1時45分発United航空Houston行きに搭乗せり。機内食はチキンかベジタリアンかの二者択一にして、勿論チキンを選択すれば「チキンカレー」にして、及第点差し上げ得る程に充分美味、予てより常々激不味機内食提供とサービスの悪さにて定評高きUnited航空にすれば、本日がたまたま偶然やも知れねど大した改善ぶりかな。
扨、空の旅の愉しみとは映画鑑賞に他ならずして、本日の1本目は、ブライアン・シンガー監督作品「X-MEN: アボカリプス(原題:X-Men: Apocalypse)」を選択せり。本作は「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」「X-MEN: フューチャー&パスト」に続く初期三部作の完結編なりけり。古代エジプトを支配せし世界最初にして最強たるミュータントことエン・サバ・ヌール(アポカリプス)が、本作上の現代たる1983年に復活、数々のミュータントが秘める力を覚醒させつつも、プロフェッサーXに己れの魂を移し更に生き長らえんとすれど、プロフェッサーXとその仲間達と熾烈な戦いを繰り広げ、遂にはプロフェッサーX率いる「X-Men」が正式始動へと至るまでを辿る物語なり。毎度乍らミュータントの馬鹿馬鹿しき程の桁外れのパワーに苦笑しつつも、特に今回は人類へ文明さえ与えし世界最古のミュータントにして、云うなれば神たるべきアポカリプスの登場、その力の強大さを表す一例に、世界中の核兵器を全て宇宙空間へ破棄すれば、いやはや核兵器廃絶云々なんぞ、彼1人の力にて充分至極、斯くなる上はSF映画史上最強たる「エイリアン」や「遊星からの物体X」若しくは後述の「インディペンデンス・デイ」に登場するエイリアンなんぞと戦うべきとさえ思わされし。
2本目に選択せしは、ローランド・エメリッヒ監督作品「インディペンデンス・デイ: リサージェンス(原題:Independence Day: Resurgence)」なり。果たして前作「インディペンデンス・デイ」鑑賞せしはいつたりしか、公開当時と記憶すれば概ね1996年にして20年前、流石に登場人物なんぞ顔も朧気どころか記憶ほぼ皆無、然れば前作より継続される登場人物設定を理解するに暫しの時を要せし。是亦先程の「X-MEN: アボカリプス」同様、アメリカは壊滅的に破壊されれば、斯くなる人類の危機にこそX-Men出動せよ!なんぞと、最早映画会社の壁さえ飛び越え叫ばん。この手のSF娯楽大作映画なれば毎度乍ら、地球外生命体の文字や知識等の高度な文明すら、制限時間内に見事に解読解析し得る好都合ぶり、況してや本作に於いては、地球外生命体より新たな文明が人類へ齎されんとすれば、万一にも次作製作される場合、最早人智を軽く超越せし内容となるは必至、何処まで大風呂敷広げ得るや、それこそ次回作に大いに期待せん。
3本目は、ジャスティン・リン監督作品「スタートレック BEYOND(原題: Star Trek Beyond)」鑑賞せり。ガキの自分よりテレビシリーズ「宇宙大作戦 / スタートレック」の大ファンたりし経緯あれば、あの「キャプテンウルトラ」に共通せし、宇宙空間とは到底思えぬチープなセットこそが醍醐味にして、然れば1979年に公開されし初映画化作品たりし「スタートレック」於ける、当時既に一世を風靡せし「スターウォーズ」すら想起させる豪華特撮映像に、皮肉にも失意落胆せし経緯もあり。而して本作は、キャスティング一新されてのリブート作品「ケルヴィン・タイムライン」シリーズ第3作なり。嘗てのテレビシリーズを基にする世界とはパラレルワールドとして描かれれば、2015年に逝去されしレナード・ニモイがテレビシリーズ当初より演じられしミスター・スポックが、スポック老として他界されしが告げられる一幕もあり。
今やCG全開にして正に今風なSF映画と成り果てれど、惑星連邦艦隊の制服は、飽く迄もテレビシリーズ当初よりデザインが一貫不変なれば、果たしてこの今風なエイリアン達やメカニックデザイン等と、放送当初はB級なればこそのあのチープな雰囲気其の儘なる制服との、妙過ぎるアンバランス感が、何とも云えぬ違和感を感じさせるは、私が余りにテレビシリーズ「宇宙大作戦 / スタートレック」の大ファンたりしに由来せん。詰まる処、矢張りガキの頃に夢中となりし初期テレビシリーズこそ、私にとっては「スタートレック」に他ならじ。
斯くして無事アメリカはテキサス州Houstonへ到着せり。入国も問題なく済ませれば、明後日よりのデュオ・ツアーにて御世話になるナカタニ・タツヤ君が迎えに来て下さりし。タツヤ君は、過ぐる6月より北米大陸大行脚敢行中にして、北の果てはアラスカまで、南はメキシコまで、キッチンやベッドも完備される愛車にてツアーされれば、私なんぞより遥かに長期ツアーと知れ。
今宵は、タツヤ君の友人Melissa宅に投宿させて頂く手筈にして、然れば一路Austinを目指さんとす。
道すがら晩飯食らうべくベトナム料理屋へ赴くや、具合も肉と海鮮混合なれば、麺も細麺太麺混合なる、究極の混ぜ麺を所望、久々なるアメリカは況してやテキサスなればこその大盛りぶりに驚きつつも、大いに美味なればぺろり完食せり。
車内のキッチンにてコーヒー淹れて下さるタツヤ君之圖。
いやはや究極のD.I.Y.にて、巨大バンの車中にベッドやキッチンも完備、その他能く能く眺むれば、あれこれツアー生活の知恵と思しきが満載、何とも素晴らしきかな。このバンにてこれより3週間余のツアー敢行せんとすれば、大いに楽しみ至極かな。
真夜中となれど漸く投宿先たるMelissa宅到着。
いきなり家中に飾られしカオル・タチバナ・フランソワ先生の作品群と思しきに、思わず元愛弟子たるヒロボンに御覧頂くべく、一部の作品を写真撮影せし次第。
案の定時差ぼけ気味ならん、ここへ到着するや、不覚にもソファにて即寝成仏せり。
斯くしてアメリカ・ラウンド第1夜たるAustinの夜は更け行きし。