思い返せば、2月末のAMT宇宙地獄組台湾巡業以来、丸3ヶ月間に渡り、中国、日本国内、北米、欧州と行脚すれば、流石に満身創痍にして疲労困憊、特に両腕の疲弊消耗ぶり半端ならず、然れば周囲よりは我が第2の故郷とも云われる南仏Toulouseにて、知己なる友人達と、暫しの休暇を満喫堪能せんとす。
異常気象にて、意外にも涼しきどころか、先週の大英帝国巡業にてすら不要たりしヒートテックを、圴か5月末の南仏にて召喚とは、果たして誰が予想し得しか。毎度乍ら駐屯させて頂くは、映像作家にして録音技師且つベーシストたるAudrey Ginestetが、友人達と構える郊外のシェアハウス&録音スタジオ「La Mami」なり。嘗て滞在せし際の経緯は、こちらやこちらを参照されたし。
Audreyも在籍するサイケデリック・プログレバンドaquasergeのリーダーBenjaminが、スタジオにて録音エンジニアを務めておられれば、現在もフランスの若手バンドが、絶賛合宿録音中。因みにaquasergeは、April Marchとコラボレーションされにけりて、彼女との新作も此処にて録音されにけり。試聴はこちらやこちらより。
Audreyが、昼飯を共にせんと、貝なんぞ準備下されば、早速調理に取り掛からん。
一見蛤の如きヨーロッパザル貝ことコックなれど、些か泥臭さ感ぜられれば、臭み消しに地中海沿岸原産西洋葱ことリーキもぶち込み、酒蒸しならぬ白ワイン蒸しにせん。醤油を隠し味に注せば、これは大いに美味なり。前夜炊きしごはんの残りもあれば、是非リサイクルせんと、此処La Mamiにて飼育される鶏共が毎朝産み落とす新鮮玉子を失敬、日本贔屓なるAudreyが常備する粉末出汁と胡麻油を以て、手軽に玉子炒飯とすれば、これにて「コックの白ワイン蒸し+玉子炒飯」完成せり。
更には「生牡蠣」に檸檬汁絞り食らえば、嗚呼、堪らぬ程に美味なり。
何せツアー全日程終わりしかと思えば、2月末以来久しく張り詰めし緊張の糸も、遂には切れしか、然ればまさしく疲労が土石流の如く噴出奔流、最早全身怠痛ければ、両腕の痛み半端ならずして「抜けそう」な程の痛みに苛まされし始末。斯くして今回の投宿先として宛てがわれしウッドハウスへ赴き、暫しの転寝を堪能せんとすれば、昼飯食らいて2時間経過せし頃、激烈なる下痢発症、これは紛う事なく生牡蠣に中りしと確信すれば南無三、そもそもツアー疲れにて肉体的に限界を迎えし際なれば、これまた何とも不運至極、然れどツアー中にあらざれば好運と思うべきか。
今宵は、Audreyが久しく在籍するアヴァンロックバンドuehのメンバー達と、久々なる再会を祝し、レストランにて晩餐を企画頂いておれば、折角の御招待、況してギタリストのStephaneとの再会は、実に数年ぶりとなれば、何としても出席せん、せめて何とか外出し得るレベルにまでは回復すべしと、そもそも常日頃より「強靭な精神こそ健全な肉体を司る」と宣えば、此処は是非とも有言実行あるべし。ツインピークスに於いても、腹部に3発被弾せしクーパー捜査官曰く「意思が蘇った時、肉体は驚くべき回復力を示すもんですよ」然れど一旦潰えし緊張の糸を、再び紡ぎ直すは至難の業とは重々承知、奥義たる心象風景連想に由る自己触発発奮法をも試せど、どうにも機能し切れずして、然れど約束の午後7時には、何とか外出可能なるレベルにまでは回復を果たせし。
牡蠣に中り苦悶せしと伺い知るや、uehのドラマーにしてLa Mamiの住人たるFrédéricは、薬を買いに赴き下さりし。嘗て欧州ソロツアー中、激烈な下痢に襲われし挙げ句、3日間全く一滴の水さえも飲まず、勿論一切食わずして、ツアー続行せし際、漂着せしLyonのオルガナイザーの奥様より拝領せし驚異の整腸剤「Smecta」と、更には超強力下痢止め「Imoduum」を一気に併用、斯くして取り敢えず僅かな食事ならば可能たらん手応えを得るに至り、最早決死の覚悟を以て、いざ会食へと赴かん。
今宵は先述の通り、以前AMTレーベルより2枚組1stアルバム及び私とのコラボアルバムをリリースせし、南仏のアヴァンロックグループuehのオリジナルメンバー3人、即ちStephane、Audrey、Frédéricとの会食なり。何せuehは、ドラマーたるFrédéricが、シンガーソングライターとして、自身のバンドHypercleanを率いメジャーデビュー、Parisに拠点を移し活躍されしを機に、残念乍ら活動休止と相成れど、先頃そのFrédéricが再び故郷Toulouseへ帰還されれば、今やAudrey達と同じくLa Mamiの住人となられ、遂に活動再開されるや、既に2度のライヴも行い好評博されにけり。然れば活動再開の報と共に会食の機を持てしとは、正に万感の極み、さりとて不覚にも体調不良なんぞとは、己れ自身を七生呪詛すらせん勢いなり。
待合せせしレストランにて、いざ再会を祝えば、uehのギタリストにして美術教師たるStephaneと、uehのベーシストにして録音技師且つ映像作家なるAudrey、
天才なればこそ奇行絶えぬ天才音楽家Frédéric。
美食家Stephaneの見立てにて、牛ステーキを所望、Audreyの口添えにて、大好物たる生フォアグラも添えて頂けど、流石に斯くなる有様なれば、揚げ物は死を招かんと、付け合わせたるフライドポテトは遠慮させて頂きし。
厚切り牛ステーキ、切り口も見事な程にレア、口内にて溶解する高級和牛とは異なり、噛み応えを堪能せんとすればこそ赤身とは正に欧米流、味付けは岩塩のみなれど些か効き過ぎ、然れど肉を食らう実感を大いに堪能し得れば、これぞ狩猟民族なればこその一品、大いに美味なり。さりとて矢張り絶不調なれば、3分の1程のみ食せば、残りは皆様に御願いせし有様、不徳の致す処にして不本意この上なし、世が世ならば腹を召さねばならぬも必至か、申し訳なき限りなり。
素晴らしき再会にして、何と皆様に御馳走して頂けば、大層御馳走様でした。哀しくも折角のステーキを堪能し得ずとは、正に精神力の脆さを露呈、一生の不覚ならん。
流石に牡蠣に中り乍らも牛ステーキを食らうとは、常々鋼鉄の胃こと「アイアン・ストマック」を自負する私なれど無謀たりしか、然れば帰還するや苦悶しつつも即寝成仏。斯くして「24時間絶水絶食療法」に突入すれば、日がなベッドに横たわり、凡そこれもまた神様よりのプレゼントかと思えば、MacBook Proに取り込み常々携行する「ツインピークス」テレビ版全30話を、一気に鑑賞せんとす。
日がなベッドに臥せりツインピークス鑑賞すれど、Audreyの親友にして、同じく映像作家たるEstelleが、彼氏共々会いに来て下されば、残念乍ら目下24時間絶水絶食療法施術中故、1杯のコーヒーすら共にし得ねども、彼女とも15年来の旧知の仲にして、今や一児の母とも相成られれど、斯くも再会果たせば、その15年とは何とも一瞬の眩きの如しか。
まさしく成すべき事皆無にして、只管ツインピークス鑑賞に明け暮れれば、御存知の通り食いもんあれこれ登場せし故、大いに空腹に苛まされれど、これこそ紛う事なく回復しつつある兆しなれば、遂には絶水絶食24時間経過せし故、丁度FrédéricとBenjaminが料理拵えておられ、皆して晩餐と相成るや、回復の具合伺いつつもいざ食さんとす。
フランス家庭料理の代表的一品たる長大ソーセージの鉄板焼き、これを皆でシェアして食らうものなり。
「ソーセージ+サラダ+野菜煮込み」これそ私の知る処の、南仏に於ける日常的手軽な献立の一例、そもそも日本にて云う処の所謂フランス料理なんぞ、日本料理に於ける懐石の如きなれば、庶民的日常食にあらぬも当然、奇しくもフランスに於ける高級料理とは、日本料理に他ならねば、何とも皮肉な限りかな。
デザートのパイは、ここLa Mamiの敷地内にて収穫せし代物にて拵えられれば、大層新鮮にして大いに美味なり。
24時間絶水絶食療法なる荒療治にて、概ね下痢も収束すれば、AudreyとSaulなる来日組共々、ピレネー山脈の温泉へと赴かん。彼等とは、和歌山の川湯温泉を訪れし経緯あれば、今や温泉好きとなられし御両名。雪山を臨めば、愈々ピレネー山脈に突入せし。
フランスのトイレとは、女性用はいざ知らねども、男性用に於いて、如何に清掃行き届きし清潔なるトイレであれど、大便器たるより必ず便座が取り外されておれば、なんでやねん。
まさしく乳房山ことMt.Poitrine。
道すがら、弁当にせんとすれば、パン、生野菜、チーズ、パテ、ドライトマト、オリーブオイル、赤ワインなんぞと、日本の弁当風景とは異なるは当然、いやはやピクニック気分満開かな。
パンに通称BB即ちBrousse de Brebisなるチーズを乗せ、そこへアボガド、オリーブオイル漬けドライトマトをON! これは大いに美味にして、アボガドをパテにすれば、これまた大いに美味。
正にピクニック気分、大いに堪能せり。
行き掛けの駄賃とばかり、ピレネー山中に佇む、フランスとスペインに挟まれし小国家アンドラ公国へ。何せ免税商売にて外貨獲得を果たす国なれば、
通りには、只管免税店が犇めくばかり。
免税店を訪れれば、斯くの如くパスティスの瓶も各種ずらり並べば、
アブサントも各種取り揃えられ、ずらり並ぶ次第。
昼下がりのコーヒー休憩。
「Kebab Méditerranéen」そもそもトルコ料理たるケバブなれば「地中海風ケバブ」とは是如何に。よくよくサンプル写真を伺えば、先ず左側の一品は、ドネルケバブが皿に盛られ、フリッター即ちフライドポテトが添えられる様にして、これは先のベルギーにても御目に掛かりし代物、況してフリッター添えられれば「地中海風」云うよりは「Dutch(オランダ風)」ならん。斯くして右側は、何とドネルケバブがピザの具にされれば、確かにこれは奇しくもイタリア風か、世界各地にて、ドネルケバブの変態ぶりあれこれ見受けれど、流石にピザと化せしは初めてにして、いやはやこれこそ今後大ヒットの可能性見出し得らん。そもそも欧米に於いて、ピザこそ夜食の定番、日本に於けるラーメンの如きなれば、況して夜遅くまで営業するは、常にトルコ人営むケバブ&ピザ屋なれば、その主軸商品2品たるが、今まで合体果たされぬ事の方が、遥かに不思議極まりなからん。凡そ誰もが発案発想して然るべきこのドネルピザ、然れど世に殆ど御目見えせぬは、矢張り味覚的問題なんぞあればこそか、何にせよこのドネルピザ、今後の動静に要注目。
工事現場のおっちゃん達、ロードコーン配置中。
「さすらいのバイカー、ピレネー山脈を行く」の圖。
素晴らしき眺望、
山越え谷越え、
草原をも越え、
然ればピレネー山脈のUMA、獣人ロンギュテテ(longue tête)達に遭遇せり。
遂に温泉地たるサントマ(St. Thomas)到着。
温泉と云えど、湯温は36℃程度にうめられておれば、温水プールの如きにして、然れど充分に気持ち良ければ、嗚呼、極楽天国ユートピア。
Audrey、Saulと共に記念撮影、先程免税店にて購入せしグラサンを装着すれば、香港映画なんぞに登場せしマフィアのNo.3なんぞの如し。
施設内に簡易バーあれば、軽く1杯とばかり、マフィアオヤジ「パナシェ」を呷る圖。
軽食メニューもあれど、日本の温泉宿なんぞ云うに及ばず、縦しんばスーパー銭湯内食堂とさえ異なり、所詮はパイやらサンドウィッチやらピザやらフライドチキンに留まる次第、いやはや日本ならば御当地名物の一品二品なんぞあらんと思われれど、そもそも食文化が単純にして、況して御近所さんへ土産を配る習慣なんぞ無縁なる欧州なれば、絶好の土産たるべき御当地名物なんぞ皆無なるも、これまた当然至極なり。
界隈に秘湯ありとの情報あれば、いざ探索の旅へ。下の写真は、後日、ネット上にて拾遺せし1枚、悪しからず。
樹々を掻き分け進めど、
残念乍ら発見に至らずして、日没も迫れば断念。
嘗て訪れしBenjamin曰く、我々は可成り近くまで到達せにければ、まさに目と鼻の先たりしとか、然ればまた次の機会の愉しみとせん。
いざ帰路に就けば、さらばピレネー山脈。斯くして「ピレネー山脈温泉巡りの旅」も幕。
Audrey達の友人たるクリストフとアン御両名、此の度新居へ越されれば、今宵はささやかなる引っ越しパーティーに招かれし次第。
Soulと彼女のファニーも来られれば、彼女は日本へ観光にて滞在せし経緯ありて、日本語も些か話されれば、今度は是非2人して日本を訪れたしとの事。
アンの愛猫ブブアツコ、アツコとは正に日本女性名より命名されにけれど、残念乍ら雄猫なり。
Saulの大好物たる南仏郷土料理(名前失念、悪しからず)所謂チヂミの如きにして、大いに美味なり。
パンにトマトソースをON! されし一品と、胡瓜サラダ、共に素朴な味わいなればこそ美味なり。
午前2時半頃に就寝すれど、毎朝6時に目覚めれば、今更時差ぼけが修復されつつあらんや、どうにも空腹に苛まされれば、水屋より中国製即席袋入り麺を失敬、玉子と刻みパセリも添えれば、これにて朝飯とせり。
私が滞在するウッドハウス、朝日を浴びる様。
その内部とは、正に赤いカーテンの部屋。然ればこれこそまさしくブラックロッジか。
窓に張り付く蛾。
何故かクローバーの葉には、日本のそれとは異なり、黒き染みの如き伺える次第。
Benjaminが施工されしツリーハウス、夏に昼寝するには最高なりけり。
合宿録音中なるバンド御一同様共々、今宵は晩餐と相成れば、皆して調理作業開始されし。
斯くして出来上がりしは「ミートソースのファルファッレ」の如きか、案の定味付け希薄なれば、塩やら胡椒やらチリやらチーズやら醤油やらあれこれ施し、各々カスタマイズするが流儀なり。
Toulouseの街へ繰り出せば、毎度御贔屓にさせて頂くレコード屋Paul Emile Vinylsへ。ポリスの1stEP発見、これは未だギタリストがHenry Padovaniにして、バンド黎明期の作品。高額なれば購入せず終い。
偶然にも、大分を拠点に活動されるサックス奏者山内桂さんのライヴが、今宵ToulouseはEspace d'Art Contemporainにて行われると知るや、顔出させて頂きし次第。山内さんは、遡る事10数年、大分にて初めて私のソロライヴをブッキングして下さり御仁にして、それは即ちソロとして九州初ライヴの意味もあれば、大いに感謝して余りあるばかり。そのソロ九州初ライヴとは、有り難くも「ヨーロッパ等で活躍するギタリスト」なる宣伝文句が、ライヴのポスターに掲げられれば、いざ蓋を開けるや、会場を埋め尽くせしは、着飾りし中年以上の女性客達にして、これには大いに「?」抱けども、いやいや九州とは、斯様なアングラ音楽すら市民権を得し様にして、然れば斯くなる客層を迎えしかと思えど、エレキギターの弓弾きを始めるや、皆様耳を塞ぎて会場を後にされれば、何とクラシックギターのリサイタルなんぞと勘違いされにけりとの顛末、何とも思い出深き一夜となりしとは云わずもがな。
山内さんのソロ、オルガナイザーとのデュオの2セットが展開されれば、ソロは、空間への素晴らしき共鳴共振起こりて、その快感に耳のみならず全て委ねるべしと思われれど、如何せんライヴにては耳栓必須なる西洋人、皆様その危険周波数に耐え切れず、両耳を塞がれる有様。勿論PA等一切使用されておらねば、サックスそのものの音量のみなれど、いやはや彼等の聴力とは、果たして如何な按排ならんや。余りに聴覚過敏にして、耳栓せし際にて、漸く我々日本人が耳栓せぬ状態と、ほぼ同じ聴覚を晒されるものか、一度彼等の耳を以て、様々な音を聞いてみたき限りと思う昨今なり。例えるならば、辛味に関し、激辛党の末席に名を連ねる私なんぞ、唐辛子大量投与を以て、所謂皆様が唐辛子を軽く施す程度と、漸く同じレベルの辛味を感ずる次第なれば、西洋人と我々日本人の聴覚の差異も、また斯くの如しと推察し得らん。然れば彼等の耳には、今宵の山内さんのサックスは、如何な按排にて響き届きしか。
楽しき南仏休暇も愈々最後の夜を迎えれば、最後の晩餐とばかり、皆して調理に勤しむ次第。
私の好物と知れば、Audreyが予め用意して下さりしは、麗しの「生フォアグラ」にして、この侘び寂びすら感ぜらるる盛り付けと共に、大いに堪能させて頂きし次第。嗚呼、まさしく絶品至極、一発昇天級に美味。
さて主菜たるは、春巻+サラダ、斯様なる様すら、所謂フランスの一般家庭に於ける食卓の一風景なり。
嘗てAudreyと共に来日せし際、遂に開眼されしKing Saulが再び降臨、残念乍ら王冠にあらねば、是非次回御目に掛かる際には、僭越乍らも王冠なんぞ贈呈させて頂かん。
食後に登場せしは、先日アンドラ公国はAndorra la Vellaにて確保せしアブサント召喚、皆していざ堪能すれば、大いに陽気な宴となれり。
Frédéricがギター爪弾き始めれば、女性ドラマーたるファニーが、ポテトチップス入りたる器を振り、パーカッションとしてセッション。
今回のToulouseにてのレコード・ハンティング戦利品、残念乍らオクシタン・トラッド関連は、然程の収穫上がらねど、あれこれ物色すれば、結局LP27枚、EP6枚を計上せり。
南仏にての休暇も終われば、名残惜しけれど、愈々帰国の途に就かん。ToulouseよりAmsterdam経由にて、いざ大阪関西空港へ。
Amsterdamより関空への機内食配膳に際し、大抵「beef or chichen?」なるフレーズ聞き慣れしものなれど、今回耳にせしは「beef or tonkatsu?」何だすて?この2週間、日本より食材や調味料一切持参せねば、現地にて現地の食事を摂るに終始、然ればトンカツなんぞとは、何とも耳に懐かしき一語にして、いざ配膳されれば、トンカツは哀れ水浸しの如き惨状なれど、傍らに添えられしごはんを見るや、正にこの2週間、米の存在をほぼ完全に忘却せし様にして、ひと口食らえば、仮令機内食のごはんなれど、懐かしき食感口内に広がるや、初めて望郷の念なんぞ沸き起こりしか。然れば今や私の体とは、海外の食生活にも充分対応し得る適応能力を身に付けしか、否、そもそも嘗ては赤貧ツアーなればこそ、御当地メニューも凄惨なる食事に遭遇し捲りしものなれど、今や多少の金を惜しまねば、それなりに美味なる代物食し得ると、これは当然の道理ならん。
機内にては、ジョン・ムーア監督作品「ダイ・ハード/ラスト・デイ(原題:A Good Day to Die Hard)」相も変わらぬ壮絶な破壊&アクションシーンの連続、痛快極まりなきカタルシス映画かな。
行きしな時間切れにて鑑賞叶わざりしピーター・ジャクソン監督作品「ホビット 思いがけない冒険(原題:The Hobbit: An Unexpected Journey)」漸く最後まで鑑賞し得れど、何やねんこのラストは。最初から続編ありきとは、昨今のハリウッド映画には珍しからねど、せめて1作単体にても作品として完結すべきと思えば、大いに落胆させられし。実は本作は「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の続編にして新シリーズなりければ、そもそも「ロード・オブ・ザ・リング」未見の私なんぞ、到底及びにあらじか、悪しからず。
ブライアン・シンガー監督作品「ジャックと天空の巨人(原題:Jack the Giant Slayer)」これまた最初から続編ありきと思われれど、こちらは本作1編にても完結しておれば、充分鑑賞に値せし様、単純にファンタジーワールド堪能せり。
斯くして無事帰国。アメリカより帰国せし以来なる時差ぼけの上書き再び、満身創痍にして疲労噴出すれば、今や体を動かす事すら儘ならぬ惨状にして、挙げ句遂には発熱、当分静養させて頂かんと思えば、業務連絡の返信すら遅延気味と相成らんと思われれど、どうにも為す術無くして、悪しからず。
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南仏の休日
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