明日香の深山は山寺境内の桜が、愈々概ね満開となれば、果たして毎春4月半ば以降に満開を迎える筈なれど、矢張り暖冬の直後に寒の戻りもあれば、些か急いて逸り咲きか。
そもそも4月8日にAMT宗家北米ツアー出発を予定すれば、今春は暖冬の影響もあり、出発直前に何とかこの桜を拝み得るかと思い馳せれど、結局北米ツアーはキャンセル、然れば珍しくも春を通し日本に滞在し得るこのタイミングにて、例年より随分早く満開迎えんとは、何とも皮肉なるかな。
コロナ狂騒にて、桜が満開たれど花見に興じ得ぬ気運高まれば、数人の友人集い、この人外魔境の桜なんぞ眺めんとす。
毎度恒例サイケ組のイベントと異なり、参加者数僅かなれば、料理の仕込みも随分楽にして、ささやかなれど宴席構えさせて頂きし。
「パレスチナ風ジャガイモ素揚げ」なんぞ手抜き料理も交えつつ、
「菜の花おひたし山椒酢味噌」
「生春巻風巾着」
「とろろ人魂天婦羅」
「カルパッチョ(サーモン+蛸+ベビー帆立)」
「鳥皮カリカリ揚げ 名古屋名物『風来坊』手羽先風味」
「お好み風ソース鳥唐揚」
「天婦羅(祝蕾+海苔)」
「有頭海老の刺身 アリオリソース添え」
「鴨葱焼 山葵ソース」
「鳥肝と牛蒡の和風アヒージョ+ガーリックトースト」
「ポテトのチーズ焼 トマトソース添えゴルゴンゾーラ風味」
「鯛の骨蒸し」
「かますご」
「豚鍋 花椒麻椒風味」
等々をアテに、地酒あれこれ持ち寄り皆して飲み倒れ。何せ畳の上に座しての花見とは、能く能く思えば殿様気分か。皆が矢鱈に「天国」なる語を口にされれば、コロナ狂騒の渦中なる都市部と異なり、そもそも此処は人影さえ見掛けぬ人外魔境、束の間なれど桜を愛で美酒美食に興じれば、全く収束の目処立たぬどころか暗雲垂れ込み捲るコロナ狂騒の世界にて、今後凡そ無限とも思われる隔離生活が待ち構えるやも知れず、本日養われし英気を以て、是非にも生き抜き、来たるべき新世界を見届けんと誓うものなり。
久しく続きし陰鬱な空模様も払拭され、久々なる青空仰ぐものなり。
矢張り青空の下、眩しき春の陽光にて眺むる桜の鮮やかさ、いと格別なり。
扨、コロナ狂騒にて大いに疲弊され捲りしムジカジャポニカ女将せいちゃんと、しゃきちょんを迎え、せめてこの世俗より隔絶されし深山にて、暫し世俗の煩わしさを忘れ、大いに英気を養い頂くべく、亦しても簡素乍らアテあれこれ用意させて頂きし。
「鰤と鯵の刺身」「菜の花おひたし山椒酢味噌」「生春巻風巾着」「蒸し茄子」極私的インスパイア料理「竜宮」「白身魚の和洋折衷タジン」
「祝蕾天婦羅」
「鯛の骨蒸し」
等々をアテに、3人して飲み明かさんとすれど、今夕までの確定申告や売上減少証明申請等の事務仕事ラッシュも相俟り、徹夜明けなるせいちゃんは、芋焼酎お湯割をチェイサーに日本酒呷られ、片やしゃきちょんは酎ハイをチェイサーに日本酒呷られ、流石は名高き酒豪女子の御両名、私なんぞ御付き合いし切れず、遂には轟沈も当然なり。
翌朝目覚めれば、何故か「ベルサイユのばら」ビデオ上映されし名残あり。私が轟沈せし後、女子2人にて如何な盛り上がり迎えられしか、全く想像及ばぬ次第。
目覚めのコーヒーを供させて頂きし後、
昨夜の「鯛の骨蒸し」残党を以て「〆雑炊」拵えれば、濡縁にて桜眺めつつ遅過ぎな朝餐とせり。
斯くして今春の花見行事は全て終了せり。何せ久々に花見なんぞ堪能させて頂けば、果たして次回はいつにならん。