1995年、PSF RecordsよりCDにてリリースされし「東方沙羅」の1stアルバム「Toho Sara」が、米Black Editionsより2枚組LPにて復刻されにけり。
毎度丁寧な作りを誇られるBlack Editionsなれば、今回も豪華見開けジャケット+インナースリーブ仕様。
そもそもこの「東方沙羅」1stアルバムは、私個人としては、人生初の公式フルアルバムにして、後のリリースラッシュも全てはこの1枚が起点なれば、今や私自身ですら己れのディスコグラフィを把握し得ぬ有様とは御周知の通り。
1992年「えろちか」解散後、暫くは宅録なんぞに明け暮れれど、1993年に私生活の転機迎えんとすれば音楽活動継続を断念、然れどその後、紆余曲折の末、再び音楽活動再開せんとすれば、当時最先端と呼ばれしNew York前衛音楽シーンを伺うべく渡米、三味線1本携え我流にて街頭演奏なんぞ行いつつ、夜な夜な当時は未だ前衛シーンのメッカたりしKnitting Factoryなんぞへ足繁く通い、有名無名様々なミュージシャンの演奏を目の当たり、耳の当たりにし乍ら、音楽活動再開を決意、
而して亦しても紆余曲折の末に帰国、最早ロックバンド結成なんぞは諦め、宅録にて所謂実験音楽作品制作に明け暮れし頃、奇しくも嘗て「浄玻璃」なる実験グループにて暫し共に活動せし「High Rise」南條さんと再会、近況問われ実験作品制作云々説明するや、興味抱かれ、更には「えろちか」の元メンバーたりし安田君も巻き込み、斯くしてそれを基盤に「東方沙羅」結成へ至りし。
その安田君との「東方沙羅」結成直前若しくは直後の超レアな写真発見すれば、此処に掲載させて頂かん。
当時、名古屋から帝都へ再び本拠移されし南條さんの新居にて、毎月2週間近く録音合宿に明け暮れれば、先ずは本作「東方沙羅」1stの制作に始まり、自ら「シンガー・コンセプト・ライター」と称されし南條さんなれば、新たなコンセプトの数だけバンドを結成、斯くして膨大な量のレコーディング行いし次第。
既に四半世紀25年経過すれど、個人的には未だつい数年前の事のようにも思い返され、正に現在の私へ至る「第2期音楽活動の起点」たるべき1枚なり。
人生とは異なものにして、不遇続きな十代二十代と過ごし乍らも、その後の我が人生に於ける重要人物との出会いとは、概ね斯様な混沌とせし最中に行われ、遂に機が熟し時が来たるや、奇しくも再会果たし、今に至る次第。勿論、南條さんや安田君のように、今や全く消息さえ存ぜぬ御仁も少なからねど、共に過ごせし時の記憶、而して作品は、今再び此処に紡がれ、未来へと繋がれしか。
今回のLP復刻に際し、先達ての「Musica Transonic」1stのLP復刻同様、南條さんによりボーナストラックも収録されにければ、私も当然未聴にして興味深き次第。
2枚組LPなるフィジカルリリースのみならず、デジタルリリースもBlack Edtions公式Bandcampページにて行われれば、是非にチェック頂きたし。