今やサブスクが浸透普及、音楽作品の意義や価値が問われて久しければ、特にデジタル光学盤たるCDの衰退著しく、然れど片やアナログ再評価の時流にて、塩ビ盤たるレコード (ヴァイナルなる呼称は、どうにも俄かレコードファン然ぶり晒す語彙に思われれば、私の如き当時から一貫しレコード購入し続ける時代錯誤アナクロオヤジとして、躊躇われ然るべきなれば、悪しからず) や、磁気テープたるカセットが再び脚光を浴び復権せんとす。
然りとて関係各位に伺いし話を統合すれば、新たにレコード購入される若き世代の多くが、実はインテリアとしての価値見出され、レコードは部屋に飾るのみ、実際に聴取鑑賞されるは、添付されるダウンロードコードにてダウンロードせし音源なりけり。更に最近はCDも見直されつつあると伺えど、是亦レコード同様「現物 (モノ) で持っていたい」所有欲に由来、然れば矢張り実際に聴取鑑賞されるは、ダウンロードせし音源なりけり。
欧米に於いては、日本より遥かに先んじ、レコード復権叫ばれて久しければ、レコードプレス価格も年々高騰、更にプレス工場の数に限りあれば、需要が膨れ上がり過ぎ、納品まで半年以上どころか、下手すれば1年近くも要する有様。況してレコードプレスは、単なるデジタルデータの複製たるCDプレスと異なり、テストプレスも繰り返せば、時間も要し、加えて重量盤ブームも相俟り、送料も益々負担となるばかり。
正直に本音云わせて頂くならば、リリースするフォーマットは、CDが最も好ましく、先ずプレスコストが格安、然もデジタルデータコピー故に、テストプレス不要、そもそも自分がミックス及びマスタリングせし音像の儘、確実にリリース叶う次第。加えてプレス費やす日程も最長1か月に及ばざれば、音源完成からリリースまでの時差も僅かにして、大きさもコンパクト、重量も軽ければ、送料に関しても経済的なり。
片やレコードプレスの場合、先ずプレス代金が高額 (特に我々の如き少数ロットなれば尚更)、アナログフォーマットにてリリースにも関わらず、今やデジタルデータにて入稿なんぞと不毛極まりなきプロセスを踏まねばならず、況して今やこちらもデジタル録音を採用すれば、ついぞ私のミックスが、レコードの溝を切る際に問題生ずる音像たる事少なからず、マスタリングとテストプレスを繰り返せど、どうにも悲惨な結果しか得られぬケースも稀ならじ。特に嘗てCDのみにてリリースせし作品のアナログ復刻なんぞ、そもそもCD用、即ちデジタルデータコピーしか念頭に置かずミックスすれば、斯様な問題噴出も当然にして、結果制作者本人としては、オリジナルCDの方が、圧倒的に素晴らしき音質音響たる顛末が殆どか。
然も入稿から納品まで、半年以上は当然、下手すれば1年近くも要する有様にて、リリースされる頃には、こちとら既に内容を忘却せしなんぞも、珍しからぬか。加えて昨今の重量盤ブームにて、一層重量化せし上、コロナ狂騒以降国内外問わず送料高騰すれば、負担は益々増えるばかり。在庫管理するに当たり、レコード箱はデカければ場所も取り、更に管理状態如何では塩ビ盤が反る、ジャケットの角が折れる等、商品としての価値を著しく損なう可能性も秘め、プラケースならば割れれど交換可能なCDと、此処にも大きな差異あり。
以上のような経緯踏まえ、辿り着きし極論は「結局レコードジャケが欲しいだけちゃうのか?ほならレコードジャケだけ作って、中身は盤無し、ダウンロードコードだけでええやん。」是ならば現実の需要に則し、ジャケットを飾り、ダウンロード音源を聴取鑑賞し得つつ、一切の無駄もなし。仮面ライダーカード収集の為、食いもせぬ仮面ライダースナックを買わせる、推しアイドル応援すべく握手券取得の為、同じCDをアホみたく買わせる等の愚行とは、真逆の発想なり。
斯くしてこの度、主宰するアナログ専門レーベルMax Hazerd Recordsから「Virtual Disc Series」として、レコードジャケット+ダウンロードコードたる新たなフォーマットにて、AMT宗家ライヴ盤「Leashed In The East」リリースせり。内容は、先達て行いし秋葉原 Club Goodmanにての130分超級ライヴを完全収録。ヴァーチャルとは云え、一応レコードリリースの体を為せば、曲目クレジットに際し、A面からH面までに至る4枚組として表記せり。 事実4枚組としてレコードプレスせんとすれば、其のプレスコストの高額ぶりに、十中九.九諦めざるを得ぬと知れ。
是こそヴァーチャルディスクだからこそ可能せしめし作品なり。
記念すべき第1作なればこそ、肝心要たるジャケットアートは、AMT関連ジャケットやチラシ等も手掛けて下さるMasaqui Yoda氏に依頼、斯くしてインテリアとして素晴らしき作品に仕上がりしかな。
然れど実際このヴァーチャルディスク、どれ程の需要があるかは未検証、取り敢えず今回のAMT宗家北米ツアー秋の陣にて先行試験販売中、好評ならばBandcamp等の通販も視野に入れんとす。
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Leashed In The East
Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O.
side-A
Black Summer Song
Sycamore Trees
side-B
Dark Star Blues ~ Bit The Bulbous Bullet Baby
side-C
La Novia
side-D
From Planet Orb With Love
Santa Maria
side-E
Soleil De Cristal Et Lune D'Argent
Sparkling Pink Lady Lemonade
side-F
Flying Teapot
Pink Lady Lemonade coda
side-G
Cometary Orbital Drive
side-H
MU
Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. - at the time of this live recording were :
Kawabata Makoto : guitar, speed guru
Higashi Hiroshi : synthesizer, fishin’ god
Jyonson Tsu : voice, guitar, bouzouki, midnight whistler
Satoshima Nani : drums, another dimension
Sawano Shozo : bass, hex man
with
liquidbiupil : OHP light show
recorded live at Club Goodman (Tokyo), 16th September 2023
produced by Kawabata Makoto
art works by Masaqui Yoda