昨夜は即寝成仏せしにも関わらず、午前6時半起床、常なる4時間睡眠ならぬ6時間睡眠とは、蓄積されし疲労が極限に到達せしを物語れば、然れど奇しくも全日程終了を以て問題なし。問題たるは、ベッドに潜みしか、斯くなる晩秋初冬ににも関わらず、壁蝨の猛襲受ければ、右半身に凄惨なる被害受けし事か。ガキの頃より、痛みに関せば忍耐強けれど、痒みに関せば全く我慢ならぬ質にして、搔き毟るや一瞬にして血だらけなり。
ホテルの部屋に台所あれば、朝飯を食らわんと、中国産袋入り即席麺「今麦郎 香鍋 微辣 麻辣牛肉面」召喚、デフォルトにて食らえど、充分刺激的味わいにして美味。
午前10時半、NeçatiとÇan御二人と共に、ブレックファーストと相成れば、道すがらガラクタ屋にてカセット発見せり。前回訪れし1996年は、未だカセット大全盛たりしトルコなれば、中古カセットも在庫豊富と思われ、カセット蒐集家津山さんは、既にフォーメーションラップ周回中なり。
界隈のカフェにて、トルコ風オムレツ「 Menemen(メネメン)」食らうや、薄っ平なれど具沢山にして美味。
トルコ式コーヒーも堪能せん。一見エスプレッソの如きなれど、入れ方が根本的に異なれば、更に砂糖入りにして、
その味わいは「強い子のミロ」なんぞ想起せられし。沈殿させしコーヒー豆が底に残るも特徴なり。
トルコのトイレ事情とは、日本の洋式和式同様、洋式とトルコ式の2種あれば、下の写真は洋式なれど、水流弱ければ、使用済みトイレットペーパーは、隅に置かれるゴミ箱へ。御国変わればトイレも変わる、是世界の常識なり。
NeçatiのオフィスKODMÜZİK探訪せり。
扠、これよりトルコ遺跡巡りの旅に出発される吉田氏を御見送り。
然れば皆して記念撮影せり。
残されし我々は、いざレコード屋&楽器屋巡りの旅へ。道すがら見掛けし古本屋の有様、例の防府の古本屋「松崎書店」や、岡山の「フロンティア」も顔負けか。
何やらレコード屋街の如きにして、レコード屋が軒を連ねれば、先ずは「Atrantis Music Shop」突撃、
当然の如くErkin Korayを筆頭に、Turkish Rockオリジナル盤ずらり壁貼りされれど、日本円にして5万円超級とは、到底手が出ぬ有様、どころか所謂トルコ歌謡や民族音楽のレコードまで軒並み高騰、18年前に比べれば、0が1個足されし有様にして、最早然う然うには手を出せぬ状況か。
然れどカセットとCDは安価、結局はアナログ盤に限り、今日日はebay等に於いて高額にて売却し得ればこそ。然ればカセット物色中なる津山さん之圖。
2軒目は、隣接する「ZIHNI」へ突撃せり。
久しく私は、ベリーダンスのレコード蒐集すれど、その殆どを欧米諸国にて求めれば、均かトルコ・オリジナル盤が存在せしとは、能く能く考えれば当然ならんとも思われれど、矢張り驚愕至極。欧米に於ける殆どのベリーダンスのレコードとは、嘗てナイトクラブ盛況たりし頃、店内BGMとして、亦はショータイムBGMとして重宝されれば、紛う事なく欧米諸国にて企画製作されしと信じ込みし次第。
下手に原盤至上主義なんぞ宣えば、迂闊にベリーダンスのレコードすら購えぬと知れ。実に恐ろしきは原盤至上主義なるかな。
店長を務める御仁が、Neçatiの友人なれば、倉庫にも御案内頂きし次第。
膨大な在庫の中、
無心にカセットやEPを物色される津山さん之圖。
私もあれこれ掘れば、何と奥村チヨ「くやしいけど幸せよ」トルコ盤シングル発見、ジャケットのイラストは、概ね別のベスト盤LPジャケなんぞを模写されし代物ならん。
先ずレコード・ハンティング堪能すれば、汽船にてボスポラス海峡を渡り、いざ新市街へ赴かん。
甲板より鴎に餌を投じられる御仁おられれば、
鴎の群れが汽船を追随、
彼方にモスク臨みつつ、
甲板隅にて恋人達がいちゃつくも、いとをかし。
新市街到着するや、小腹も減りし故、トルコなればこそ胡麻付きリング型スナックパン「Simit(シミット)」スタンドにて購入、
胡麻風味が美味にして、
腕に嵌め食らう、これぞ由緒正しきトルコ式食らい方なり。
更には世界最古にして最短なる地下鉄に乗車、切符売り場もレトロなれば、いとをかし。
僅か1駅間のみを往復運行されれば、実は可成りな斜面にして、一見地下鉄にあらずケーブルカーの如し。18年前Istanbulに滞在せし際、度々乗車せしを懐かしみつつ、下車。
「新市街」へ渡りしは、先ず楽器屋へ赴かんとすればこそ。此処には楽器屋街あれば、西洋楽器のみならずトルコ民族楽器の数々も販売される様にして、サズを購入されしと思しきケース抱えられる御仁、既に数名と擦れ違えば、その需要の多さも推して知るべし。18年前もこの楽器屋街へ入り浸れば、連日あちこち訪ねては物色購入検討、結局サズ、ウード、ケメンチェ、リュラー、ズルナ、ドゥドゥック・メイ、オリエンタル・クラリネット等、合計10点もの楽器を購入せし経緯あれど、18年ぶりに訪れれば、楽器屋の数は些か減少せしか、代わりに土産物屋が立ち並び、今回私が所望する一品も、前回はあちこちの店にてちらほら見受けれど、今回は全く以て発見叶わずして、最後に訪ねし一軒にて、これぞ正に運命か、奇跡的に最後の1本たる在庫発見せり。
店内には様々な楽器、所狭しと展示されれば、いやはや正に楽園、宛ら楽器ユートピア状態、
御目当ての一品発見すれば、早速試奏させて頂く次第、ええ感じやないですかとにんまり、而して店のオヤジもデモ演奏されれば、流石はトルコ人の血が為せる業か、見事な程までにトルコ節なり。
トルコの葦笛「Ney(ネイ)」を購入されし津山さんなれど、流石の津山さんを以てすれど、何とも第1歩たる音出しに悪戦苦闘されれば、奇しくも居合せしカワルと思しきトルコ笛奏者たる御仁に、御教示仰ぐや曰く「ネイは専門外ですが…」と前置きされるも充分に演奏されれば、その業盗むべく確と凝視、これより津山さんの特訓始まりし次第。
Neçatiが値引き交渉試み下されば、何とか当初の予算額にて商談成立、斯くして私も御目当ての一品購入叶えば、界隈のカフェにてコーヒーブレイク、キャッシャーの傍らに佇む「Tip Box」セクシー過ぎにて候。
小雨の中行くちんちん電車、いとをかし。
ネイ特訓中なる津山さんなれば、歩みを進める間すら惜しみ、只管特訓に明け暮れる次第、然れど曰く「未だ音鳴らず…。」
Neçatiの盟友Tayfunが営まれるレコード屋「De Form Muzik」へ。
Tayfunとも18年ぶり再会果たせば、互いに感激至極。如何せん18年前は、彼の家に投宿させて頂けば、当時、トルコ語、ルーマニア語、而して片言の日本語のみ話し得し彼と、未だ片言の英語しか話せぬ私は、身振り手振り全快にてコミュニケーション図ればこそ、言語を超越せし所以なればこそのフレンドシップを得られしか。今や流暢な英語を話す彼は、時折日本まで買い付けに遠征されにけりて、次回来日される際は、是非とも日本にて再会果たさんとす。
トルコに於いて店を訪れるや、何かと供される茶「çay(チャイ)」前回は矢鱈とアップルティーの応酬たれど、今回は単なる紅茶に終始すれば、これももしや流行り廃りか。
レコードハンティングに勤しめば、何と「ちあきなおみ」日本盤なんぞ発見、トルコは親日国なればこそか。
更にはトルコ盤「Shinichi Mori」発見せり。
試聴機にてトルコ音楽聴きつつ謡い踊られる津山さん之圖。
隙あらば特訓に励まれる津山さんなれど、曰く「未だ音鳴らず…。」
帰路へ就けば、ライトアップされしモスクを臨む。果たしてこのモスクが、そもそも有名か扨又無名か、扨又何たるモスクかは一切不明にして、悪しからず。
汽船乗り場へ到着すれば、帰宅ラッシュと重なり、往路とは全く異なる有様、
大層な人数乗船すれば、果たして日本の通勤ラッシュの如き混雑かと憂慮されれど、
船内は然程の混雑にあらざりて、これも思いの外に汽船大きければこそか。レトロな船内装飾が、是亦何とも悠長な気分を助長すれば、此処は日本にあらずトルコにして、折角なればのんびり行くべし。
扠、愈々晩飯と相成れば、NaçatiとÇanの案内にて、彼等曰く「有名なトルコ料理レストラン」へ。先ずは「南瓜のスープ」たるを堪能、レモン搾れば酸味が何とも刺激的、エキゾチックな味わいにして、パンを千切りぶち込み浸せば、一緒に食らうが現地流なりけりて美味。そもそもトルコの南瓜とは、日本の其れと全く異なり、甘み皆無なればこその調理法なりけり。
この店には、何とケバブが数十種類もあれば、嘗てトルコ料理屋にてシェフ務めし私すら、全く以て存ぜぬ代物目白押し、然れど私が所望せし主菜とは、アダナ地方名物「Adana kebap(アダナケバブ)」にして、所謂ハンバーグ若しくはつくねの如き代物、嘗てシェフ時代には頻繁に仕込みし一品にして、当時私が教示頂きし「トルコ料理最初の3品」のひとつなれば、個人的思い入れも深き次第。18年前、吉田氏と共に、カッパドキアへ0泊3日の強行軍にて赴きし際、帰路にてアダナ地方経由せし際、初めて本場のアダナケバブに遭遇、勿論食せども、己れが拵えし方が美味と思えば、些かがっかりさせられれど、果たして今回は是如何に。いざ食らうや、これは焼き加減も絶妙にして、口内に肉汁迸れば、大いに美味なり。
Çanが所望されしは、所謂腸詰め料理にして、ひと口頂けど、仄かなスパイスの香りも芳しく、是亦美味なり。
デザートは、果物のコンポートと思しきにクリーム添えられし一品にして、是亦激烈に美味、況してオリーブすらコンポートとすれば、これが奇跡な程に美味。
斯くしてトルコの美食大いに堪能、御馳走様。
深夜1時発関空行きにて帰国の途に就く私と津山さんなれば、一旦投宿先ホテルへ帰還、而して荷物を携え空港へ赴かん。Çanが同行案内下されば、地下鉄にてヨーロッパ側旧市街へ、更に乗り換え地下鉄東端の駅まで到着すれば、Çanに見送られ、これよりタクシーにて夜の空港へ。いざ帰国の途に就かん。
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day off in イスタンブール
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