Geneve

午前5時半、忌まわしき蚊の羽音にて起床、成る程日本のそれに比べひと回り以上もデカき蚊が旋回中、気付けば手首より吸血されし痕跡あり、かと思いきや、上唇中央に異物感あれば、その刹那えも云われぬ痛痒み覚え、均かこの吸血昆虫♀に唇奪われしか。然れば思わず半人半獣ならぬ半人半虫なる姿なんぞ想像せしか。



否、せめて擬人化されて頂きたければ、斯くの如しか。



然れどリアルに再現せんとすれば、斯くの如しか、ぞっとせぬ有様なり。



斯くして忌まわしき昆虫女に唇奪われ吸血されれば、一見髭にて隠されこそすれ、



漫画の如き滑稽極まる腫れ具合、血ぃぐらいなんぼでも呉れてやるよって、何でもええから痒うすな、腫らすな。せやから無下に殺されんねど。



朝飯を求め台所へ赴けば、昨夜の晩飯用ケータリングたりしフランス式カレー＋ジャスミンライス残党発見、これらをフライパンにて炒め合わせ、スパイス棚より適当に選びあれこれ投下、〆に塩ひと抓み、斯くしてリサイクル・インプロクッキング「本格フランス式ドライカレー」完成、流石に相当な味補正を施せば美味なり。



午前11時半頃に出発予定なれば、出発前に昼飯食らうべく、昨日購いし僅か3分間にて茹で上がる極細スパゲッティーと烏賊缶を召喚、



茹で上がりしスパゲッティーに烏賊墨諸共投下、更には激辛汁なし担々麺の素も隠し味に施せば、ハバネロソースもひと回し、水屋よりドライ・パクチー失敬すれば投下、斯くしてインプロクッキング「spaghetti con calamari（烏賊スパゲッティー）」完成、ツアーにては御馴染み即席手抜きメニューなれば、今更美味なりとは云わずもがな。



Lyon Part-Dieu駅より2時間程の列車の旅にて、いざスイスはGenevaへ。



Geneva到着すれば、投宿先たる駅前のホテルへチェックイン。未だ入り時刻まで3時間程余せば、テレビにてイスラム圏放送局がエンドレスに流されるコーランに耳を傾け、



亦、アラビア語にて流されるニュース番組を眺めし。



今宵の会場Cave 12へ。昨年移転され新装開店されれば、会場設備も大いに充実され、目を見張るばかりかな。



サウンドチェックも済ませば、晩飯は、日本を意識され拵えて下さりし賄いにして「鶏肉甘酢ソース＋中華風野菜炒め＋冷麦の如き麺」なれば、些か不思議な組み合わせなれど、いざ食らうや程良く味が交錯すれば美味なり。



イタリアのamazza cafe宜しく食後酒頂かんとすれば、スイス名産リキュール「Morando」4種に挑戦せり。4杯も飲めば倒れんと諌められれど、嘗てはイタリアにて散々鍛えられし経緯あれば、4種共に満喫堪能、個人的にはアプリコット酒が好みたりしか。



今宵先鋒を務めて下さりしは、先達て来日されれば、横浜公演にてはゲスト指名さえ頂きしスイスのギタリスト「Kernal」ことJean-Philippe Schopferにして、亦しても暗黒ドローン炸裂せり。



本来音量が法律にて規制されるスイスと知れど、嘗てJ.F.Pauvrosとのデュオの際、尋常ならぬ大爆音にて観客皆様を恐怖のドン底へ陥れし経緯すらあるCave 12なれば、今宵も一切諌められず大爆音大放射大乱射、大いに盛況にて幕。
ライヴ写真こそネット上にて拾遺叶わねど、サウンドチェックを撮影されし1枚あれば、これと終演後に撮影せし1枚を以て、イメージ画像として御茶を濁させて頂く次第、悪しからず。





Cave 12を切り盛りされるMarion & Sixtoや、Jean-Philippeと共に記念撮影せり。



斯くしてホテルへ帰還、今後のスケジュールに関しあれこれ確認等雑務こなせば、些か小腹も空きしか、然れば晩飯の賄いより些か失敬せし鶏肉甘酢ソース＋刻みパクチー、レタス、更にはBirminghamのアジア食材店にて購いし袋入即席麺「日清 鉄板焼そば」を召喚、



湯沸かしケトルにて熱湯沸かせば、青の器を以て麺を戻し、そこへ具合全て投下、添付されし粉末ソースが、日本の焼そばソースとは些か趣き異なるや、激辛麻婆豆腐の素も投下、斯くしてインプロクッキング「鶏肉甘酢ソース中華焼そば」完成、いざ食らえば、甘酢ソースとピリ辛の邂逅素晴らしくして大いに美味。



Nullさんとのデュオ・ツアーも愈々折り返せど、流石に疲労蓄積せしか、無料動画サイトにて野村芳太郎監督作品「ダメおやじ」鑑賞しつつ轟沈せり。
斯くしてGenevaの夜は更け行きし。