今年2017年は、日本滞在が6カ月を切る海外遠征ぶりにして、国内ツアーも含めれば、概ね4カ月余しか自宅滞在し得ぬ多忙ぶり、然れば3週間の日本滞在を終え、再び自ら「遠洋漁業」と例える海外遠征、今回は再び欧州へ赴かんとす。我々の如きドサ回りD.I.Y.赤貧ミュージシャンの海外ツアーなんぞ、正に例えるなら「遠洋漁業」鮪船に乗り込むが如し、過酷なツアースケジュールの下、ほぼ軟禁状態にて移動&演奏強いられる繰り返すのみと知れ。時には、ツアー中に物販商品としてCDやCDR製作、実際に家内制手工業を以て商品製作せしも少なからねば、遠洋漁業どころか「蟹工船」すら想起し得らん。然りとて音楽演奏以外に、然して何も成し得ぬ様にして、社会の余禄を以て生かされると知ればこそ、ウルトラマンジード宜しく「ジーっとしててもどうにもならねえ!覚悟決めるぜ!」斯くして再び渡欧せん。
早朝未明、大阪アジトを出立すれば、無事関空到着。チェックインせんとするスーツケースの重量が、珍しく26kgと3kgも超過すれど一切問題あらざれば、無事チェックイン完了せり。搭乗ゲートへ向かえば、
搭乗ゲート前に出店されるコンビニにて「きのこごはんと蓮根つくね揚げ弁当」贖い、食せり。
大韓航空午前9時半発Seoul行きに無事搭乗、僅か1時間半の旅にて仁川空港到着せり。時空の裂け目より迷い出られし昔の方々が練り歩かれれど、概ねアトラクションの類いかと思えば、誰も関心抱かざる有様。
大韓航空午後1時20分発Paris CDG行きに搭乗せり。
大韓航空なれば、機内食に「ピビンバ」選択せしとは云わずもがな。
扨、空の旅に於ける私の愉しみとは、ハリウッド娯楽大作鑑賞にして、先ず1本目は、アレックス・カーツマン監督作品「ザ・マミー / 呪われた砂漠の王女(原題:The Mummy)」鑑賞せり。本作は、ユニバーサル映画が1920年代から1950年代に掛け製作せし怪奇映画諸作こと通称「ユニバーサル・モンスターズ」のリブート作品を制作せんとされる「ダーク・ユニバース」記念すべき第1作にして、1932年公開「ミイラ再生」のリブート作品なりけり。王位継承権を失いし王女アマネットが、悪神セトと契約を交わし、自らが神として転生せんとすれど、阻まれ封印されれど、昨今の中東紛争に於ける空爆にて封印が解かれ、現代に甦らんとすれば、セトの魂を宿すべくトム・クルーズ演ずるアメリカ軍曹長ニックの肉体を狙えど、ニックは神セトとして蘇生果たせど、男女愛憎劇の果てアマネットを滅ぼし、想い寄せし女性考古学者ジェニーを、得し神の力を以て蘇生させこそすれ、セトとして復活せし変わり果てし姿晒さざると、砂漠へ消えし。CG多用されればこそ実現せしと思われるスペクタクルな映像は、今や感動どころか辟易せられるばかりにして、況して何故にジキルとハイドまで客演されしか意味不明、そもそも旧き良きユニバーサル怪奇映画が内包せし趣きなんぞ皆無、最早アメリカ映画界の終焉さえ予見させる御粗末なシナリオには、この中途半端に続編も有り得ると思わせぶりなエンディングも含め、いい加減愛想も尽きる次第。「古き良きハリウッドのアイコンを現代に蘇らせようとした作品の一つである。しかし、昔ながらの題材を浪費している。これでは映画製作とは言えない。墓荒らしである。」成る程斯様な論評あれど、残念乍ら大いに納得し得る次第。
2本目は、ガイ・リッチー監督作品「キング・アーサー(原題:King Arthur)」鑑賞せり。タイトル通り、アーサー王伝説に基づくファンタジーアクション作品。イングランド王ユーサーは、弟ヴォーティガンの奸策にて謀殺されれば、聖剣エクスカリバーは石化せしユーサーを貫き川底へ沈み、息子アーサーは小舟にて難を逃れ、売春宿にてスラムの悪友達と共に育まれし。
「真の王」の覚醒が噂される中、紆余曲折を以てアーサーは、悪友達や魔術師メイジ他、ユーサーの旧臣達と共に、国王となり覇権広げんとするヴォーティガンを倒すべく挙兵、遂に聖剣エクスカリバーを意の儘に操り得る真の国王として覚醒せしアーサーの勝利、而して共に戦いし同胞達を円卓の騎士に任命せしを以て、本作は完結せり。因みに公式発表に因れば、全6作のシリーズ予定なりけり。イングランドが舞台なれど、斯くなる断崖絶壁や大河なんぞ何処にあらん。そもそもその実在せしや否やも、未だ論争されるアーサー王なれば、格好のファンタジーアクション物語の好材料にして、況してやその舞台が5世紀後半より6世紀初頭とは、日本史にては大和朝廷が日本全国を支配、所謂古墳時代と知れば、その古代ミステリーぶりも推して知るべし。思い起こせば、小学3年生頃、夏休みの宿題たる読書感想文を書くべくして選びしが「アーサー王と円卓の騎士」なる1冊にして、然れどその余りな英雄譚ぶりが、何かにつけて天邪鬼たりし私には癇に障り、アーサー王と円卓の騎士団を散々非難罵倒せし感想文を提出、然れば担任の教師に散々説教垂れられしが、アーサー王に関する私個人の思い出かな。
3本目は、ロジャー・ミッシェル監督作品「My Cousin Rachel(日本公開未定)」鑑賞せり。女嫌いの従兄アンブローズに育てられし青年フィリップは、アンブローズがその療養先イタリアにて均かの結婚果たせし後、謎の病死を遂げれば、彼の手紙より死に追い遣りしは、その妻レイチェルこそが元凶と確信、そのレイチェルがフィリップの下へ来訪、当初の思惑とは裏腹に、彼女の魅力に惹き込まれ、遂には相続せし遺産全てを彼女へ献上贈呈せし有様、然れど実はレイチェルに手玉に取られしか、挙句体調が悪化するフィリップは、アンブローズ同様、自分もレイチェルに毒殺されんと慄けど、実はアンブローズの被害妄想たりしか、果たして何が真実たりしか、謎を巡り事態は二転三転、思わせぶりな結末も中途半端な真相解明なんぞより遥かに聡明にして納得、じわじわと迫る緊張感が心地良きミステリー作品。因みに本作も、日本未公開作品「謎の佳人レイチェル」のリメイクなりけり。
4本目は、ヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリ監督作品「パイレーツ・オブ・カリビアン / 最後の海賊(原題:Dead Men Tell No Tales)」鑑賞せり。云わずと知れし人気シリーズ第5作目なり。ジャック・スパロウは、そもそもその首に掛けられし懸賞金も僅か£1まで大暴落せし有様にして、最早仲間の船員達よりも見放されし凋落ぶり、挙句コンパスも手放せば、今や亡霊と化し乍らも魔の三角水域に閉じ込められしサラザールを解放せし顛末を誘い、紆余曲折あればポセイドンの槍を探す旅へと出航せしに至り、遂にはブラックパール号も復活すれば、再びその健在ぶり大いにアピールされれば、更なる第6作へと続く次第、悪しからず。
到着前に配膳されし機内食は「豚チムチ」にして、流石は大韓航空なればハズレなしの安定ぶりかな。
斯くして無事Paris CDG空港到着。これより本日の最終目的地たる南仏Toulouseへ向け、最終フライト控えるばかり。今回のフライトに関し、予てより何やら「嫌な予感」感ずれば、今宵の投宿させて頂くAudreyに、彼女宅へ至る空港トラムの終電の発車時刻を問い合わせるも、彼女曰く「最終は午前0時20分発、マコトのフライトは午後10時半着の予定だから安心して」然れど何やら胸騒ぎせしは、先達てのニュージランド行きの際に食らいし6時間の大遅延と同じなれば、根拠なき不安払拭し得ぬ次第。
斯様な心持ちなれど、エールフランス午後9時発Toulouse行き搭乗、定刻より些か遅れ乍らも無事離陸果たせり。所詮は杞憂たりしかと安堵するや睡魔襲来、この僅か1時間半の空の旅は寝てこましてケツからんと爆睡せり。
私は先ず以て通路側の席を予約するが常なれど、このフライトに限り叶わず、奇しくも窓際席にして、ふと目覚めれば、夜の街の灯りが散在する様、既に高度は低く、果たしてToulouseとは斯くも田舎たりしかと、些か不可思議に感じつつも、斯くして着陸果たせり。然れど着陸するや立ち往生、ゲートの方へ赴かずして、空港内の中途半端な場所にて停止、以来全く動かざる次第。
然りとて到着せしと安心こそすれば、亦してもついつい転寝、再び目覚めれば先程と全く同じ景色にして、
既に席を立たれる乗客もおられれど、未だ荷物を棚より出される訳もなく、果たして何が起こりしか、生憎エールフランスなれば況してや仏国内線、斯様な場合のアナウンスはフランス語のみは重々承知之介、結局何が起こりしか判然とせねど、降機は待機とは推して知るべし。
挙句、タンクローリーの如き車両が駆け付け、整備工の如き方々が何やら作業開始、均か燃料切れにて緊急着陸か、斯くもアホなトラブルなんぞ許されざる筈もなけれど、如何せん此処は労働者の国フランス、未だストライキなんぞ日常茶飯事にして、然れど労働者の立場を尊重すればこそ文句垂れるどころか、ストライキを応援せんとするフランス人なれば、況してやフランスが世界に誇る世界最高速超特急TGVが、突如停止し数時間も遅延せし際も、日本の如く乗客が怒るなんぞあろう筈なく、皆様思い思いに充実せし時間過ごされる様にして、線路へ出て散歩されるは、バー車両へ移動されワイン片手に歓談される次第なれば、今回も例外にあらず、皆様拾遺の席の方々や客室乗務員相手に大いに歓談、機内の喧騒ぶりなんぞ日本に於いては想像不可レベルに達せり。
当初のToulouse到着時刻は午後10時半を予定、今宵の投宿先たるAudrey宅へは、空港よりトラム1本にて容易に辿り着き得る次第なれど、最終は午前0時20分発と知れば、せめてこれに無事乗車叶う事を祈るばかり。
待ち草臥れ転寝より目覚めれば、再び飛行中にして、矢張り先程の空港はToulouseにあらざりしか、ほならホンマに何処やってんな。緊急着陸たりしかと思えば、その理由は何やってんな。
斯くして漸くToulouseに近付きしと確信し得る夜景が迫れば、高度も随分下げられ、今度こそToulouseへ到着せり。着陸に際し、乗客の皆様よりやんやの大喝采起これば、嘗てロシアやトルコ等の航空会社を利用せし際、着陸に際し拍手送られしを思い出せり。
結局午前1時半に到着すれば、予定より3時間の延着、空港トラムも疾うに運行終了すれば、タクシー乗り場は長蛇の列なれど、肝心の運行中なるタクシー台数僅かにして、順番待ちに30分以上を要せど、斯くして無事、今宵の投宿先Audrey宅へ到着せり。大阪アジト出発より既に28時間余が経過せし有様、何とも長き大移動たりしかな。
Toulouse空港は、この御時世にも関わらず、今時無料Wi-Fiあらざれば、Audreyに連絡叶わず、彼女には大いに憂慮されし有様。況してエールフランス公式サイトには、私が搭乗せしフライトに関する延着情報一切あらざりしとは是如何に。果たして何の為の公式サイトなるか。臭い物には蓋なる「事なかれ主義」とは、何とも御フレンチな対応ぶりかな。
何はともあれ無事到着を以て、彼女と再会祝せど、そもそも既に午前3時を過ぎる夜更け、早々におやすみの挨拶を交わすや、紛う事なく時差ぼけ上書きせし私は、日本出発の際にコンビニにて購入せしおにぎり、自宅より持参せし「自家製胡瓜の浅漬け」オマケなる茹で玉子を召喚、遅過ぎな晩飯食せり。
斯くして今回の欧州遠征第1夜たるToulouseの夜は更け行きし。