午前5時起床、概ね時差ぼけは克服し得しか。本日の格言「石の上にも美女」
如何せんフランス人及び地中海沿岸地域の民とは、朝飯を殆ど食らわぬと知れば、悠長に皆様の起床を待ち、斯くして共に朝飯を食らわんなんぞ狂気の沙汰とばかり、持参するタイ製袋入即席麺グリーンカレーラーメンなんぞ食さんとすれば、昨日の残り物たるサラダなんぞもぶち込みし次第、このグリーンカレーラーメン、食い飽きぬ味わいなれば、況してやチキンラーメン方式、即ち熱湯をぶっ掛ければ麺が戻る故、何ともツアー向きなるかな。
投宿させて頂くLa Mami全景。その内部には、今やElectric Mami Studioなる立派なレコーディングスタジオも建設され、Benjaminがエンジニアを務め、様々なバンドの合宿録音も承っておられれば、勿論その投宿先とは、敷地内に設置されしキャビンやらトレーラーハウスやらなり。
フランスのキリギリス。
さて皆様揃えば、昼飯と相成り、料理上手なるBenjaminが拵えて下されば、Saul君が取り分けて下さりし。
「spaghetti pomodoro e mozzarella(モッツァレラチーズ入りトマトソース・スパゲッティー)」矢張り味が些か薄っ平く感ぜられるは、日本人と異なり出汁文化を持たねばこそ。然ればこそトマトの酸味が一層強調されつつも、モッツァレラの円やかさに包まんとせしか、モッツァレラが糸引く程に溶解し絡まる辺りを食らうや、成る程これならば納得、大いに美味なり。
本日はLyonへの移動日なれば、Benjaminの車にてToulouse空港へ。何せLyonへ電車にて移動せんと思えど、地中海沿いより北上せんとするTGVあらずして、鈍行の旅と相成れば優に半日近くを要する有様、然ればとParisへTGVにて戻り、再びTGVにてLyonへ向かわんとすれど、ToulouseよりParisへはGare d'Austerlit所謂オステルリッツ駅着、さりとてLyonへはGare de Lyon所謂リヨン駅発にして、その2駅間は、あの忌まわしくもエスカレーターなんぞ殆ど存在せぬ地下鉄にて移動と思えば、些か高けれども僅か1時間なるフライトを選択せしも当然。斯くしてエールフランス午後4時半発Lyon行きに搭乗せり。
Lyon空港に到着すれば、オルガナイザーにして明日対バンも務めて下さる美青年ギタリスト兼ドラマーCyril Meyssonと美人バイオリニストAgathe Maxが、迎えに来て下されば、先ずは投宿先たるAgathe宅へ。然れば19世紀より営業される由緒正しきブラッセリー「Brasserie Georges」へ。キャリアウーマンにして人妻たるAgatheは時々訪れにけれど、未だ大学生なるCyrilは初めてとの事なれば、些か緊張気味なるか。
斯くしてAgathe御薦めなる前菜は、何やらレンズ豆の類いのサラダ、更には大蒜入りチーズを、パンに付けて食らうものなれど、これが殆どヨーグルトの如きなれば、スペインにて見受けられるアリオリソースの如き、否、トルコにて御馴染みヨーグルトソースを想起すれば、勿論美味とは云わずもがな。
Agathe曰く、此処はLyonならではも名物料理も満喫し得ると伺えば、あれこれ迷えども、結局私が所望せし主菜とは「Téte de Veau Sauce Ravigote, Petits Légumes du Marché(子牛の頭のケイパーとハーブ・ソース添えと新鮮野菜)」なる代物。嘗て狂牛病騒動以前は、鶴橋辺りにても、生の「牛脳」なんぞ食せしものなれど、今や全く御目に掛かれぬ有様なれば、飽くなき好奇心の後押しもありて注文せし次第。さていざ食らえば、ふと思い出されしは、嘗て韓国にて食らいし犬肉「スユク」か。あの犬肉特有たるプリプリ感が思い起こされれば、勿論こちらは子牛の頭なりけれど、私の食の琴線に触れるものなれば大いに美味かな。而して最後に韓国を訪れしは2004年3月にして、当時は未だ韓流ブーム到来前夜なれば、結局韓流ブームと騒がれし間は一度も訪れる機会あらずして、然れど気付けば今や、反日嫌韓なんぞと啀み合う有様なれば、この僅か10年弱の間に、日韓関係とは御目出度くも随分いろいろありしものならん。
Cyrilが所望されしデザートのチョコケーキ、結局これを3人して食らえば、いやはや恐ろしき程に絶品至極、流石は御菓子之国國御仏蘭西(ホンマか?)かな。
Lyonの美酒美食を堪能すれば、Cyrilを学生寮まで送り届け、投宿先たるAgathe宅へ帰還、結局ビール片手にあれこれ歓談、気付けば午前2時半にしていざ就寝せん。
午前7時起床、矢張り時差ぼけは克服し得しか。朝飯を食らわんと、またしても持参するタイ製袋入麺グリーンカレーラーメンを召還、欧州ツアー必需品たる「青の器」を召還、これにてラーメン拵えれば、何せこのグリーンカレーラーメンは、チキンカレー宜しく熱湯注ぐのみなれば、尚の事、この蓋付きポリ丼を重宝するものなり。
今宵はソロライヴなれば、フライトに際し分解せしギターを組み立てん。そもそも今回の渡欧に際し、2年前にToulouseを訪れし際、ギターをLa Mamiに置いて帰れば、今回そのギターを回収携行せんとせし次第。然れど欧州内フライトに於いて、無料受託荷物は1個故、2個目と換算されかねぬギターケースに関して、チェックインに際しあれこれ揉める事も少なからねば、長きに渡るツアー生活の知恵とばかり、ギターをスーツケースに分解収納する次第。原油価格高騰の煽りを受け、今や重量制限のチェックも愈々厳しくなれば、規定重量23kgも厳守せねばならぬ故、ヘビー級エフェクターたるワウを筆頭に、意外に重量級なるケーブル類及び電源アダプター類、スペースが許す限りのエフェクター類を、機内持ち込み用鞄へパンパンまで詰め込み、一方液体扱いにて機内持ち込み不可なる代物あれこれや、嵩張れど軽量級たる乾燥食材等は、全てスーツケースへ、斯くして見事23kgジャストなるスーツケース1個を預け、実は超重量級たる手荷物1個を携え、無事搭乗果たせし次第。
Agatheの愛猫Lemmyは、外出禁止なれば、窓を開け放ちし際は、犬の如く繋がれる有様、本来気侭極まりなき猫に生まれしものなれど、何とも御気の毒様。
Agatheの旦那様の愛犬、流石は無類の映画好きなりければこそか。
昼過ぎにCyrilが来れば、Agathe共々界隈を散策せん。
然れば謎の男に、突如「気」を照射されし次第、ホンマ脅かさんどいてくれ。
道すがらカバブ屋に立ち寄り「ドネルカバブ」を食らえば、些か肉もパンも焼き過ぎか。
さて今宵の会場Sonicへ赴けば、嘗て幾度か演奏せし経緯ありし船にして、手早くサウンドチェックも完了せり。
法律にて音量規制が行われるフランスなれば、店内には音量計測器が設置される次第。ホンマにアホか云うねんな。
Agatheが今朝拵えし、本日の賄いなり。デザートなる「プラムのパイ」片や前菜たる「赤蕪のパイ」
「野菜の炒め煮+豆腐の炒め煮+ライス」あれど、飲み倒れんとすれば飯は不要なり。
今宵先鋒を務めて下さりしは、Cyril M+Agathe Maxなるドラム+バイオリン・デュオなり。轟音にしてミニマル、些かなれどTony Conrad+Faustなんぞ想起、先日のフェスティバル「Baignade Toujours Interdite」に於いても、斯様なバンドを目撃すれば、今更そんなん流行ってるんやろか?
次峰は私のソロ、今宵も「Lost Milky Way」を含む1時間のセットを展開。3番手にして〆たるは、3人にてセッションを行いし次第。斯くして今宵も盛況にて幕。
機材撤収後、Agathe宅へ帰還すれど、結局ビール片手に午前4時まで、飲み明かしつつあれこれ歓談。斯くしてLyonの夜は過ぎ行きしかな。午前4時半就寝せり。
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河端一 solo@Sonic Lyon
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